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歌うということ vol.3 世界の色を、肺に招き入れる |中尾建設工業(株)ショールーム
2025.10.09
前回は、豊かな声を支えるための「足場(横隔膜)」についてお話ししました。強固な土台が整ったら、次はいよいよ、その楽器にどんな「音色」を吹き込むかというお話です。
「感情を込めて歌いましょう」
音楽の現場でよく耳にする言葉ですが、実はこれが一番の難題です。ただ闇雲に自分を昂ぶらせても、それは単なる独りよがりの叫びになりかねません。かつての僕も、130kgの身体を震わせて「情熱!」と念じてみたものの、響きが空回りして、自分だけが汗だくになっていることがよくありました。
では、どうすれば聴く人の心を震わせる「響き」が生まれるのか。 僕はここで、
「色を吸う」
という魔法を提案します。
歌い出す前、あなたの目の前にある空気を、じっと見つめてみてください。 その歌が秘めているのは、燃え上がるような情熱の「赤」でしょうか。それとも、すべてを優しく包み込む「清らかな水色」、あるいは冬の朝の光のような「輝かしい黄金色」でしょうか。
答えはひとつではありません。歌い手であるあなた自身の心が決めるのです。
そして、その色が濃く混じった空気が、目の前に霧のように漂っていると想像してください。その「色」を、前回までにお話しした「肺」の奥深くまで、思いきり吸い込むのです。
赤い空気を吸えば、あなたの肺は熱を帯び、細胞のひとつひとつが情熱で目覚めます。水色の空気を吸えば、身体の中にはひんやりとした静寂が広がります。
ただ息を吸うのではなく、世界の色を自分の中へ招き入れる。 それだけで、口からこぼれ出る声の響きは、驚くほど劇的に変わります。
テクニックという「骨組み」に、色という「魂」が宿る瞬間です。
あなたの歌は、今日、何色に染まっていますか? 吸い込む息の色が変われば、あなたという楽器の音色は、自由自在に、無限に広がっていくのです。
次回のうたごえ喫茶は10月28日!お楽しみに
